虫孔を診て種類を特定する方法
目 次
はじめに
ヒラタキクイムシ,オオナガシンクイ,ケブカシバンムシ,クロタマムシ,ヒメスギカミキリ,オオハキリバチ,アメリカカンザイシロアリ・・など、近年の住宅からは様々な建材害虫が発生します。
住宅建材にはホルムアルデヒドの放散量を3段階に分けたF☆☆~F☆☆☆☆という安全性基準が設けられており、星の数が多いほどホルムアルデヒドの放散量が少なく安全性が高いとされています。近年ではこの中で最も安全性が高いとされるF☆☆☆☆(フォースター)基準を満たしたものが主流となっています。建材の安全性の高まりは有機栽培の野菜などと同様、人だけでなく虫にとっても安心で安全なのです。
壁や床などの内装材として多用されるラワン材も勿論この基準を満たしており、ゆえにヒラタキクイムシやオオナガシンクイなどの食害が顕在化します。これに加え、木造住宅の構造材がスギやヒノキからベイマツなど安価で入手しやすい樹種へ代替されていることもこれまで見られなかった虫が目に付くようになった原因の一つと考えられます。
穿孔する虫か否か?
室内でキクイムシらしき虫を発見した場合は、まず、周辺に虫孔の有無を確認します。無ければ他の場所を探してみます。それでも見当たらない時は建材害虫でないことも考えられます。よくヒラタキクイムシと見間違われる虫にコクヌストモドキが挙げられます。見慣れればすぐに判別できますが、始めのうちはキクイムシだと思い込んでしまいます。よく似た虫がいるのでご注意ください。虫孔がある場合は、虫の体幅が孔に収まる大きさかどうかを確認します。虫は必要最小限の労力しかかけません。大き過ぎず小さ過ぎず、ぴったりハマる大きさならば孔の主である可能性があります。つぎに、ノギスを用いて虫の頭からお尻の先までの大きさ(体長)を正確に測ってみてください。体長が2.0mm以下の場合、木材を食べる虫ではなくカビを食べる食菌性昆虫である可能性が高いです。
孔の直径は何ミリ?
前述の通り虫の幅にちょうど合う大きさの孔が開いています。ノギスを用いて孔の直径を正確に測ります。以下に孔の大きさと比較的多く見つかる虫を記します。
☑ Φ1.0~2.0mm; ヒラタキクイムシ類,アンブロシアキクイムシ類(孔の周囲が黒ずむ),アメリカカンザイシロアリなど
☑ Φ2.5~3.0mm; マツザイシバンムシ,チビタケナガシンクイなど
☑ Φ3.5~4.5mm; ケブカシバンムシ,オオナガシンクイ,エグリトラカミキリなど
☑ Φ5.0~7.0mm; クロタマムシ,キホリハナバチなど
☑ Φ8.0~10.0mm; オオハキリバチなど
☑ Φ12.0~15.0mm; ウスバカミキリ, クマバチなど
被害材は針葉樹? それとも広葉樹?
建材害虫の多くは木材の樹種に選り好みします。まず被害の見られる木材が針葉樹か広葉樹かを明らかにします。できれば樹種を特定するとより正確に虫を絞り込めます。以下に発生の多い樹種と比較的多く見つかる虫を記します。
☑ 針葉樹; ケブカシバンムシおよびクマバチ(古いマツ材),クロタマムシ(マツ材),ヒメスギカミキリ(樹皮付きスギ材)など
☑ 広葉樹; ヒラタキクイムシ類およびオオナガシンクイ(ラワン材,ナラ材)など
☑ 竹; チビタケナガシンクイ,タケトラカミキリ など
☑ ゴムノキ(学習机など); ナガシンクイムシ類など
☑ プラスターボード(石膏ボード); オオハキリバチ(営巣のため穿孔)
オオハキリバチは本来、幹などの隙間に松ヤニを詰めて育児室をつくる蜂ですが、近年、壁用建材のプラスターボード(石膏ボード)に穿孔する被害が多く見受けられます。想定外の場所から蜂が飛び出す場合がありますのでご注意ください。
性格は温和な蜂ですので刺される心配はないかと思いますが、過去の経験から普段めったに刺さない蜂に刺されるととても痛いのでむやみにイジメない方が賢明です・・・。
孔の形は円形? それとも楕円形?
建材害虫の多くは円形の孔を開けて出てきます。孔の形がラグビーボール状の楕円形であれば、タマムシ類の可能性が高いです。
虫孔に泥が詰まっているけどどんな虫?
カミキリムシ類やケブカシバンムシなどの脱出孔(直径3.0mm以上)に泥が詰まっていることがあります。ドロバチやハナバチなどの蜂が育児するために利用したもので、孔の内部は数個の部屋(育児室)に仕切られています。親蜂は育児室を仕切る前に産卵し、幼虫は親蜂が育児室をつくる際に詰め込んだ餌(クモ,毛虫,葉,花粉など種により異なる)を食べて育ちます。親蜂はすべての部屋に産卵が終わると孔の入り口を泥などで塞いで飛び去ります。野生に生きる虫の生存率は極めて低く、これら借孔性蜂類など特殊な生態をもつ虫は年々減少する傾向にあります。ドロバチ類はめったなことで人を刺したりしません。もしこのような孔を見かけたら出来る限りそっと見守ってあげてください。
穿孔性害虫の検索表をご参考下さい
以下に文献と経験を基に分類した検索表を記します。あくまで目安ですが、大きくは外れないと思います。突如現れた虫に大変不安と恐怖を感じているのではと思います。この検索表でどこまでその不安を和らげられるかは判りませんが、多少はご安心頂けるのではないでしょうか。お役に立てれば嬉しいです。
なお、検索表に記載しております害虫種はいずれも人体に直接害を及ぼす虫は含まれておりませんのでご安心ください。
写真 虫害診断
料金
16,500~
円 (税込)商品紹介
関連情報
害虫・害鳥獣を安全に対策します|オオヨドコーポレーション Pテックス社
害虫対策・有害鳥獣対策の総合力で選ばれて60年。シロアリ・キクイムシ・トコジラミ・チャタテムシなど家屋害虫、コウモリ・ハト・カラス・アライグマなど害鳥獣の原因を特定し、安全に対策します。混入異物(昆虫同定)検査、研修・講演会のご依頼も承ります。お気軽にご相談ください。
商号 |
株式会社オオヨドコーポレーション Pテックス社 |
---|---|
住所 |
〒570-0092 大阪府 守口市 日光町3番12号 |
営業時間 |
8:30~17:30 休業日:土・日・祝日 |
サイト運営者 | 防蟲事業部 |
TEL |
06-6998-5201 |
|