ヤマトシロアリの羽アリの特徴を覚えて探してみよう!
目 次
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1. はじめに
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2. シロアリとクロアリの違い
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3. 黒いヤマトシロアリの羽アリ
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4. 黒い白アリの判別法とは?
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5. 羽アリの着陸地点は風まかせ
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6. 羽アリ探しは期間限定!
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7. 全国出張シロアリ予防・駆除
はじめに
4~6月にかけて住宅に飛来するヤマトシロアリの翅蟻(以下、羽アリ)を特集してみました。
羽アリの特徴をしっかり頭に入れて、ぜひとも家族みんなで羽アリ探しに挑戦してみてください!この記事が皆様の眼に触れる頃にはおそらく飛び始めています。 じゃあ、羽アリ探しはいつやるか? 今でしょ!
色だけじゃない! シロアリとクロアリの違い
シロアリとは?
「シロアリ」はシロアリ目(等翅目)またはゴキブリ目キゴキブリ属に分類される昆虫を指し、古生代石炭紀の約3億年前にゴキブリの仲間から進化したと考えられています。
近年になり、シロアリはゴキブリ目に分類されたため、巷では“ゴキブリの仲間”として紹介されていますが、ゴキブリは病原菌を運搬する衛生害虫という悪しきイメージが強いため、シロアリも衛生上危険な虫との誤解を受ける恐れがあり混同するのは問題です。これは、共通する祖先とゴキブリ目4000種の99%以上が病原菌とは無縁の環境でシロアリの様にひっそりと暮らしているという共通した生態に由来しています。よって、この場合は 「シロアリはゴキブリと同様、“原始的な昆虫の仲間”です。」と言うのが望ましいでしょう。なお、住宅を加害するシロアリの食性は木質を餌とする食材性です。
女王と王の夫婦で、数年かけて十万頭以上にもなる大家族をつくります。シロアリの女王には王の精子を長期間保管するための貯精嚢(ちょせいのう)が無いため、繁殖のためには定期的に交尾と産卵を繰り返す必要があり、そのために王が存在しています。
職蟻(しょくぎ)と呼ばれる働きアリが木材の中にトンネルを掘ったり、水を運んだりして働いています。トンネル内ではオレンジ色の大きな頭をもつ兵蟻(へいぎ)が外敵の侵入に備えて巡回しています。冬が過ぎ、暖かくなると羽アリが誕生し、毎年決まった時季、春に巣立ちます。子孫をより広範囲に広げるため、命懸けで、生まれ育った巣を去っていきます。
クロアリとは?
「クロアリ」はハチ目(膜翅目)に分類され、中生代白亜紀の約1億2千5百万年前にスズメバチの仲間から進化したと考えられています。身近に見られるクロアリは植物質から動物質まで様々なものを食べる雑食性です。
女王が単独もしくは複数で数百から数万頭の比較的大きな家族をつくります。
王(クロアリでは王とは呼ばず、雄アリと呼ぶ)は、季節限定で誕生し、わずか数日のハネムーンを終えた後死んでしまいます。シロアリと異なり、女王には優れた貯精嚢があり、雄アリとの1度きりの交尾でおよそ15年にも及ぶ寿命まで、雄アリの精子を生かしたまま保管することができるのです。このため、雄アリは短命であってもよく、むしろ近親交配による遺伝子の劣化を避けるためにも、役目を終えたら死んでくれる方が好都合なのです。恐るべきアリの世界・・・人間に生まれて良かった・・・。
種によって異なりますが、多くは兵蟻をもたず、代わりに身体の大きな大型働きアリがいます。普段は大きな餌の解体や運搬など小型働きアリでは困難な作業を手伝っていますが、有事の際には最前線の小型働きアリに加わって皆で戦います。決して率先して戦うわけではないので兵蟻とは呼び難く、このため大型働きアリと呼ばれます。
小型働きアリはシロアリと同様、巣を作ったり、育児や餌の収集をしたりと様々な任務を分担して働いています。
シロアリとクロアリの違いの中でもう一つ、圧倒的に異なる部分があります。それは、「色」ではありません。シロアリには“さなぎ”の期間が無く、クロアリには有るのです。シロアリでは卵から孵った幼虫は成虫とほぼ同じ形をしており、すぐに歩き回りますが、クロアリの幼虫はいわゆるウジ虫で、歩くことができません。働きアリに大切に育てられた幼虫は自ら繭(まゆ)を作り、その中で“さなぎ”に変わり、羽化(うか)して初めてアリの姿になります。
昆虫はとてつもなく長い進化の過程で“さなぎ”という幼虫から成虫へと劇的な変化を遂げるための“変身期間”を獲得しました。これにより、幼虫期と成虫期の生活の場を替えたり、食物を替えたりすることで様々な環境に適応する能力を高めていったのです。よって、シロアリの様に幼虫から成虫までほとんど同じ形のまま成長する(不完全変態)昆虫よりも、クロアリの様に幼虫から“さなぎ”を経て成虫になる(完全変態)昆虫ほど進化していると解釈できます。このように、家族構成こそ似ているシロアリとクロアリですが、その違いはとても大きいのです。
実は黒い! ヤマトシロアリの羽アリ
通常、シロアリは人目に触れることはありません。外部との接触を拒み、光を避け、暗い土中や木材の内部で黙々と働きながら巣の拡大に勤しんでいます。そんなもやしっ子の職蟻の眼は退化しており、身体は色白のプヨプヨで紫外線や乾燥にも弱く、とてもクロアリの様な外勤は務まりそうにありません。もし外に出ようものなら、一歩進むたびに木屑で固めたトンネルを同時に建設しなければならず、非効率この上ないでしょう。クロアリがシロアリの様なトンネルを必要とせず外を自由に歩き回ることができる秘密は、紫外線から身を守る黒いメラニン色素と乾燥から身を守る頑丈な表皮があるためです。シロアリがトンネル無しに外に出るためには、身体にクロアリと同等の装備を施す必要があり、これを備えているのが羽アリなのです。よってシロアリの羽アリは種を問わず茶褐色から黒褐色をしており、決して白くはないのです。日本国内で住宅を加害して問題となる3種を例に挙げると、ヤマトシロアリの羽アリは黒褐色、イエシロアリの羽アリは茶褐色、アメリカカンザイシロアリの羽アリは赤褐色と、いずれも色があるのです。
黒い白アリの判別法とは?
ヤマトシロアリの羽アリは白アリなのに黒い。このまぎらわしい虫をどうやって見分けるのか? とっておきの判別法をお教えします。それは「形」と、ある部分の「色」です。シロアリは原始的ゆえに身近な虫には見られない独特な形をしています。まず、一見して分かるポイントは「頭」です。光沢のある漆黒で丸みのある大きな頭が付いています。次いで、「首 (正確には前胸背板)」です。明るい黄色のマフラーを巻いているような高貴な首元をしています。そして、「翅(はね)」です。灰褐色で細長いしずく型の大きな翅は身体の倍ほどの大きさがあり、首から下全体を覆っています。ただし、羽アリは着陸するとすぐさま自ら翅を落としてしまうため、翅の付いた状態を確認することは難しいかもしれません。これは、外敵に襲われにくいよう身軽にするために行う自己防衛の手段なのです。たとえ翅が無くても首元の黄色いマフラーははっきりと確認できるため、判別に支障はありません。ここまで判ればあと少し、次に触角(しょっかく)を見てみましょう。虫が小さいので分かりにくいのですが、シロアリの触角は真珠のネックレスの様に数珠状になっているのが特徴です。そして、最後に頭の先端からおしりの先までの大きさ(体長)を見てみましょう。体長5~7mm(翅を含めた全長は7~9mm)ならヤマトシロアリの羽アリとみて間違いありません。
羽アリの着陸地点は風まかせ!?
シロアリの羽アリは飛翔筋(ひしょうきん)の発達が弱いため、ハエやトンボの様に飛翔を自在にコントロールすることができません。羽アリとなって巣から飛び立つ際にも地上から直接離陸するのは困難であり、風を受けやすい場所までよじ登ってから、風まかせ運まかせに飛ばされて運ばれていきます。シロアリの飛翔は“飛ぶ”というよりも“飛ばされる”と表現する方が的確です。離陸がこんなですから、当然のこと着陸も風まかせ。どこに着陸?できるか分かりません。必ずしも陸地に降りられるとは限らないのです。さらに、弱々しい飛翔は羽アリを餌とするスズメやツバメなど野鳥にとっても好都合で、しかも羽アリは高タンパク質なご馳走です。当然ながら狙われないはずは無く、着陸前に食べられてしまうこともしばしば。同時期に発生するムシヒキアブに捕まったり、着陸目前でクモの巣にひっかかったり、着陸直後にクロアリに襲われたりと周りは敵だらけ。まさに命懸けのスカイダイビングです。こんな前途多難な空の旅に出るのは誰だって嫌ですよね。だから、羽アリの中にも離陸をためらう個体が出てきます。飛び立つのを止めて巣に戻ろうとするのですが、ヤマトシロアリの社会は人間社会よりも遥かに厳しいようで、このように任務を全うできない者は兵蟻によって噛み殺されてしまうのです。ニンフと呼ばれる羽アリの前段階より翅蟻に羽化した直後から、それまで頼れるボディガードだった兵蟻は自身を狙う殺し屋に変わるのです。数々の苦難を乗り越えた、真の強運の持ち主だけがパートナーと出会い、家族をつくることができるのです。これが羽アリとして生を受けた者の宿命です。恐るべきシロアリの世界・・・ほんと人間に生まれて良かった・・・。
おしりを上げて歩く虫、つながって歩く虫、ピョンと飛び降りる虫は、シロアリです。
これまでの内容を踏まえて羽アリを探してみると格段に見つけ易くなります。羽アリは風上から運ばれてきて、風の当たる場所に落ちます。比較的風の強い日なら、風上側の外壁を見回るだけでも見つかります。飛ばされてきた羽アリが家の外壁にぶち当たり、必死にしがみついていたり、基礎に沿って全速力で歩いていたりします。全速力の歩行といってもゴキブリほど速くはないため、一部始終をじっくりと観察できます・・・。
ヤマトシロアリの羽アリの行動は独特です。 ヒラヒラと風に吹かれて着地すると、すぐさま翅を落とし始めます。おしりを跳ね上げて、必死に身体をひねりながらパラパラと、あっという間に4枚のすべての翅をその場に落とします。それからは、おしりを上げたまま歩いては止まり、大きな頭をひねっては触角をフラフラと動かしながら、これから巣をつくる生涯のパートナーを探し始めます。時折、しばらく静止して、ピョンと飛び降りることもあります。運よくパートナーが見つかると、前にメス(のちの女王)後ろにオス(のちの王)というように、2匹がほとんど間隔をあけず、つながって歩くのです。この、おしりを上げて歩く姿と、時折飛び降りたり、メス・オス2匹がつながって歩くのがシロアリの大きな特徴です。たとえ翅が無くとも、この独特な行動でシロアリだと判別できます。なかなか愛嬌のある姿なので、そのまま見逃してあげたくなりますが、その情けが後にとんでもない返り討ちにつながる恐れがあるため、念のため駆除しておきましょう。
お見逃しなく!羽アリ探しは期間限定!
ヤマトシロアリの羽アリが一斉に飛び立つ群飛(ぐんぴ)は4~6月にかけて見られ、多くは4月中下旬から5月下旬のわずか1ヵ月程度です。この1ヵ月間が1年で唯一、ヤマトシロアリが人目に触れる貴重な期間なのです。羽アリがリクエストにお応えして再びお披露目されることは、まずありません。それも、おおむね午前中のみ!正午以降はほとんど飛びません。正真正銘の期間限定、時間限定です!特徴をしっかり頭に入れて、ぜひとも家族みんなで羽アリ探しに挑戦してみてください!重ねてお伝えしますが、この記事が皆様の眼に触れる頃にはおそらく飛び始めています。じゃあ、羽アリ探しはいつやるか? 今でしょ!
シロアリ家族が繁栄するためには数多くの乗り越えなければならない試練があります。住宅に飛来するすべての羽アリが繁殖に成功するわけでは決してありませんが、予防しておくに越したことはありません。これをきっかけとして、意外と身近にいるシロアリに、今一度、注目して頂けたら嬉しく思います。
最後までご一読くださいまして、ありがとうございました。
シロアリの予防・駆除を日本全国を対象に出張施工します。
虫と殺虫剤に関する知識と技術を最大限に活用し、安全かつ効率的に予防・駆除します。
参考価格 (税別) |
対応害虫 |
140,000~190,000円 | ヤマトシロアリ |
200,000~250,000円 | イエシロアリ |
250,000~350,000円 | カンザイシロアリ |
備考
※いずれも人件費,出張旅費,資機材費など全て含みます。
関連情報
害虫・害鳥獣を安全に対策します|オオヨドコーポレーション Pテックス社
害虫対策・有害鳥獣対策の総合力で選ばれて60年。シロアリ・キクイムシ・トコジラミ・チャタテムシなど家屋害虫、コウモリ・ハト・カラス・アライグマなど害鳥獣の原因を特定し、安全に対策します。混入異物(昆虫同定)検査、研修・講演会のご依頼も承ります。お気軽にご相談ください。
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