コバエ対策|発生源と種類および生態に基づく増加原因と日常対策
目 次
はじめに
コバエ類の発生源と種類および生態の違いについて、屋内で発生するコバエ(ノミバエ,ショウジョウバエ,キノコバエ,フンコバエ,ニセケバエ,チョウバエ)6種類の生態を詳細に解説しています。
コバエ類の効果的な対策は、台所の生ゴミや空き缶,観葉植物や水濡れ,お風呂の排水口が点検ポイントです!
生態の異なる6種類のハエ
最近、風呂場にコバエが……。居間や玄関、そして台所にも……。ふと気付くと窓際でたくさん死んでいる……。毎年6~7月と9~10月にかけて、こんな現象にお悩みの方も多いのではないでしょうか。 家中を探してみたものの発生源も見つからず、対策もよく分からないと不安はつのるばかり・・・。
その原因はコバエ。これらを図鑑で調べてみると……載っていない! なぜなら、‘コバエ’という名前の虫は存在しないのです。実は、6種類ほどの小さなハエの仲間を総称して‘コバエ’と呼んでいます。すっかり世間一般に定着した呼び名ですが、学術的でないことから正式には認められていません。
それでは、コバエとはどんなハエのことを言うのでしょうか。その種類と発生源ならびに対策について具体的に解説していきましょう。
なお、前述の主な発生時期に「8月」が含まれていないのは、気温が高すぎてコバエの幼虫の生育が阻害され、自然淘汰されるためです。
少し長くなりますが、必ずお役に立ちますので、是非、ご一読ください。
Wanted NO.1 ノミバエ科
まず筆頭に「ノミバエ」。身体がノミのように丸い2~3mmの小さな黄褐色のコバエです。
肉と野菜が大好きで、ローストビーフと野菜スープには目がありません。大変な美食家ですが、動物糞から発生するという不潔極まりない生い立ちのため、衛生上の問題があり注意を要します。そして、とにかく落ち着きが無く、あらゆる食べ物に着地しては、うす汚れた脚で歩き回るという甚だ迷惑な無礼者です。飲食店や食品工場でも問題視される重要種でもあり、防除に手を焼く悪名高きコバエです。
卵→幼虫→さなぎ→成虫まで2週間程度を要しますが、発生源は台所の生ゴミに限らず、浴室内の排水口や浴槽下の水垢汚れ、観葉植物の植木鉢の腐敗水など動植物性食品類から腐敗有機物、そして排泄物まで鮮度を問わず食べることができるため油断は禁物です。
Wanted NO.2 ショウジョウバエ科
次に「ショウジョウバエ」。眼の赤い2~3mmの小さなハエです。
果物とお酒が大好きで、バナナとワインには目がありません。さまざまな果物が食卓を彩るこれからの季節、飛来侵入に注意を要すコバエです。
卵→幼虫→さなぎ→成虫までわずか10日と短く、年間30世代という驚異的な世代交代を遂げるツワモノです。ただし、野外では樹液や果物のみを餌としており、動物糞には飛来しません。
また、病原菌を運搬することも無いことから衛生上の危険性は低いと言えます。
近年になり、ショウジョウバエは病原性の腸管出血性大腸菌O-157を伝播する恐れのあることが判明しました。他のコバエ類と同様、食中毒にご注意ください。
果物の皮やビールの空き缶は放置せず、速やかにポリ袋に入れて口を閉じて下さい。1週間以上の保管は厳禁です。必ず毎週のゴミの日に出してください。
また、味噌や醤油や漬物などの発酵食品や乳製品にも強く誘引されるため、こぼれカスや液ダレに注意して、清潔に保管してください。
Wanted NO.3 チョウバエ科
続いて「チョウバエ」。蛾のように全身が鱗毛に覆われており、灰黒色で大きな翅をもち、見た目が逆ハート型に見える3~4mmのコバエです。ハエと名が付いていますが、生態的特徴の違いから正式には蚊の仲間に分類されています。
発生源は浴室内の排水口や浴槽下の水垢汚れであることが多く、台所や洗面所の排水管内に付着したスカム(ヘドロ状細菌集合物)や屋外の滞水した雨水枡や下水道からも発生します。
日中は光を避けて壁の低い位置に静止するなどしてほとんど動きませんが、夜になると比較的活発に飛翔します。床上50cmから1m程度の高さを一直線にフワーと飛び、すぐに静止します。真横へ少し飛んでは静止するという独特な飛翔を繰り返します。
卵→幼虫→さなぎ→成虫まで20日前後を要すものの、発生源が見つけられなかったり、手の届かない場所に発生したりして多発生します。成虫ならびに幼虫とも各種殺虫剤に対して感受性が低いため効きにくく、業務用で専用の特効薬による防除を必要とします。
家庭でできる最も有効な対策は、各種排水口に氷をたっぷり置いておくことです。冷水が排水管内のスカムに繁殖する細菌の活動を抑え、チョウバエ幼虫の発育を妨げます。可能であれば高圧洗浄機があるとより効果的です。これさえあればスカムの除去だけでなく、浴槽下の水垢汚れも洗浄除去することが可能となり、発生源対策の完成度は飛躍的に高まります。
Wanted NO.4 チビクロバネキノコバエ科
次に「チビクロバネキノコバエ」。日中、室内を浮遊するように飛翔し、窓際に落下して死んでいる1~2mmで黒い蚊のようなコバエです。
見た目はハエには見えず、小さな蚊のような形をしていますが、脚を広げず翅を水平に重ねて静止するなど蚊とは異なる特徴を持っています。
キノコバエの発生源はこれまでのコバエとは異なり、観葉植物や菜園などの培土や有機堆肥のほか、カブトムシの培土、雨どいに堆積した土やコケです。幼虫は有機質に富んだ土の中で腐植物を食べて育ちます。
お心当たりのある方はすぐに室内の観葉植物やカブトムシを屋外に出すなどして、まずは屋内発生を止めましょう。
観葉植物は培土を新しいものに植え替えて、多湿にならないようやや乾燥ぎみに管理しましょう。肥料はIB粒状化成などの化学肥料を用いることでキノコバエの発生を抑えることができます。
また、カブトムシは培土をすべて捨てて川砂を入れて下さい。幼虫を飼育する場合は腐葉土でなければ育ちませんが、成虫のみなら川砂で清潔に飼育することができます。湿度調節も簡単でキノコバエだけでなく各種コバエ類の発生を抑制します。カブトムシを飼育されている方、飼育を予定されている方は、是非、お試しください。もちろんクワガタムシにも応用できます。
なお、チビクロバネキノコバエは植物病原菌を伝播することが確認されていますが、人畜に深刻な影響を与える伝染病の媒介などはしませんのでご安心ください。
大量発生事例
2014年6月20日より7月20日頃まで、日本国内の広域において「チビクロバネキノコバエ
Bradysia agrestis」が多発生しました。
チビクロバネキノコバエは身体が2mm以下と小さく細いため、網戸をくぐり抜けて窓際に溜まります。特に雨が降った翌日の午前中は一斉に群飛するため、飛来侵入に注意を要します。
我が家では5月初旬から目にするようになり、6月22日に発生のピークを迎えました。あまりの多さに玄関のドアを開けるのもままならず、やむを得ず住宅敷地内全域に殺虫剤を散布して駆除しました。
安全性を最優先した上でキノコバエ類の駆除性能に優れた殺虫剤を選抜し、規定量の1/2濃度にて25ml/㎡を目安に面状散布しました。規定濃度よりも薄く散布しましたが、殺虫効果は絶大で1回の散布でほぼ気にならないレベルまで駆除できました。
Wanted NO.5 フンコバエ科
次に「フンコバエ(旧称 ハヤトビバエ)」。飛翔力が弱く、全然速く飛べないため名前と生態がそぐわないとの理由から近年になって改称されたいわくつきのコバエです……。全身が黒く2~3mmでノミバエに似ており、同様によく歩くコバエです。
新名称の通り野外では動物糞から発生します。糞から発生するコバエだから糞小蝿。この名前もいかがなものでしょう……。
住宅においては、水漏れにより生じた腐敗水や排水汚泥から発生し、成虫はノミバエと同様、食品に飛来します。ノミバエのような黒い小さなハエが屋内にたくさん見られる場合は、台所や洗面所、トイレなどの水回りに異常がないか、点検されることをお勧めいたします。
ちなみに、フンコバエ科で有名なのはハマベフンコバエ。浜辺を歩いたときに波打ち際の海藻から飛び立つ小さなハエです。皆様もきっと一度はお会いしたことのあるコバエです。
Wanted NO.6 ニセケバエ科
最後に「ニセケバエ」。全身が黒く体長2~3mm程度の小さなコバエです。1年の中では3~5月に多く見られ、キノコバエのように翅を水平に重ねて静止します。身体は寸胴で棒状、太短い棍棒のような触角をもっています。卵→幼虫→さなぎ→成虫までおよそ20日で世代交代します。図鑑などでは腐敗植物質から発生するとされていますが、実際に多発生した現場では必ずしも植物質に限定されず、海岸の腐敗生物由来や水産加工場の魚残渣排水系、美容室のオーガニックシャンプー排水系、製麺工場の排水系、ゴルフ場の芝生土壌・・など動物質も含まれ、チョウバエ科と同様、排水系からの発生も非常に多いのです。
ニセケバエは他のコバエ類と異なり、成虫の羽化は短期集中的に行われます。数日程度でみるみる増加し、数百から数千頭のニセケバエが地上50cm~1m程度の低空を群飛します。 半端に身体が太く目立つため、縦横無尽に飛び交う様は強烈に気持ちが悪いです・・・。
住宅外構の芝生土壌などから多発生した場合は、エアレーション(穴あけ)による排水性の改善を早急に実施してください。また、芝生表層のサッチ(刈り草等の堆積物)を掻き集めるなどして取り除き、腐敗物をできる限り残さないよう洗浄除去してください。その後はキノコバエ同様、土壌が過湿にならないよう注意して管理してください。なお、乾燥させすぎると芝生が細り枯れますのでご注意ください。
排水系から多発生した場合は、チョウバエ対策と同様、高圧洗浄機による排水管内の洗浄が効果的です。
数日ないし数週間で大量発生する極めて不快な種ですが、こんなでも人畜には無害ですのでご安心ください。
それでは、コバエ対策の具体的な予防策について解説しましょう。
台所のコバエ対策
(おもな対象はノミバエとショウジョウバエです。)
生ゴミは台所用ポリ袋小(縦35cm×横25cm)をセットした蓋付きの小型ゴミ箱(15cm四方)に入れて1日毎に密封し、スーパーのポリ袋大をセットした蓋付きの大型ゴミ箱に入れてゴミの日まで保管します。なお、大型ゴミ箱の底にはシリカゲルなどの乾燥剤や、押入用除湿剤を設置しておくとより効果的です。
コバエ類は臭いに敏感に反応します。このため、生ゴミを蓋付きもしくは都度口を縛るなどして臭気を出さないようにすることは、コバエ類を誘引しない方法として効果的です。
コバエ類の産卵には餌だけでなく水分も必要で、特に幼虫の発育にはより多くの水分を要します。よって、乾燥させることは、彼らの産卵行動を抑制するとともに幼虫の生育を妨げるだけでなく、同時に成虫の誘引源となる腐敗臭の発生をも抑えることができるため、極めて有効な手段の一つなのです。
“生ゴミの1日毎の密閉と乾燥”自信をもってお勧めします。是非、お試しください。
お風呂場や洗面所のコバエ対策
(おもな対象はチョウバエです。)
先に記した排水口への氷の設置の他、より予防的な措置として簡単にできる方法をご紹介いたします。チョウバエ幼虫の餌となるスカムを発生させない日常管理が重要です。
お風呂から出る直前に、「お湯」を壁面から床面の隅々まで掛け流す。これだけで洗剤残りや皮脂汚れなどの付着を防ぐことができます。シャンプーなどの界面活性剤は少なくとも40℃以上で溶解するため、水では落ちません。また、皮脂汚れも同様です。できれば、お湯洗浄の後に「水」を掛け流すと、浴室全体の温度を下げてカビの発生も抑えることができます。
浴槽下の防水パンの洗浄は、浴槽側面が取り外せるものであれば外して直接洗浄します。取り外しができない場合は、残り湯を溜めないよう排水して栓をしておきます。残り湯は放置すると汚れが沈殿し、浮遊している垢は凝集してヘドロ状になり付着しやすくなります。つまり、スカムの発生を促しますので必ず排水してください。たった一晩でもいけません。害虫防除の視点だけでなく風水的にも残り湯は好ましくありません。
なお、浴槽に栓をするのは、成虫の侵入産卵を防ぐのと、浴槽下で発生した成虫の脱出を防ぐためです。
以上です。
住宅に発生するコバエ類の生態と対策、ご参考になりましたでしょうか。
少しでも皆様の参考になり、いくらかばかりでもご安心頂けたなら幸いです。
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